サウナ開業物件選びのポイント|立地・構造・契約など確認すべきポイントを解説
サウナの開業はほかの業種よりハードルが高く、物件探しの際も立地や条件だけでなく、電気容量、耐荷重などさまざまな要件が影響します。
また、サウナは「その他の公衆浴場」に該当するため、建築基準法・消防法・公衆浴場法などの基準をクリアできる物件を選ぶ必要もあります。
しかし、はじめてサウナ開業を検討している方にとって、どのようなポイントをチェックすれば良いのか分かりにくいですよね。
そこでこの記事では、サウナ開業物件を選ぶ際にチェックすべきポイントを、3つのジャンルに分けて詳しく解説します。
コラムのポイント
- 立地や競合性、入店動線など、集客力に直結する開業物件選びのポイントをチェックしておきましょう。
- 法基準のクリア、電気容量、耐荷重や内装工事の制限など、理想のサウナ施設をつくるために必要なチェックポイントも解説します。
- 初期費用や更新の有無など、サウナ開業物件の契約時に確認すべきポイントもあります。
サウナ開業物件選びの前に決めるべきこと
どのようなサウナを開業するかによって必要な広さや適切な条件は変わるため、まずは次のようなポイントを決めておく必要があります。
- ターゲットユーザー
- コンセプト
- 事業規模と売上高
- サービス内容や価格設定
例えば、幅広いユーザーを対象にした大衆サウナをつくるなら、ある程度の広さの物件が必要になり、アクセスなど求められる条件も変わってきます。
詳しくは後述しますが、大規模なサウナを開業するためには乗り越えるべきハードルが多く、理想的な物件を見つけるのはかなり難易度が高いです。
近年増えてきているプライベートサウナなら小規模な物件でも開業できる可能性はあります。
しかし、プライベートサウナは一室当たりの利用客数が限られるため、開業できる物件が見つかったとしても、必ず成功するわけではありません。
安定した利益を上げるためには、ターゲットユーザーにマッチするコンセプトを立案し、大衆サウナより高い料金設定でも集客できる施設をつくる必要があります。
プライベートサウナで大きな利益を上げるなら、ある程度の規模の物件でサウナ室の数を確保しなければなりません。
いきなり物件探しから始めても、事業のコンセプトや規模が分かっていないと、開業可能なのか、事業として成立させられるのか判断できません。
経営が軌道に乗るかどうかにも影響しますので、まずはどんなサウナ施設をつくり、サービスを提供したいのか明確にしておきましょう。
サウナ開業物件の立地・条件のポイント
集客や収益性に影響する、サウナ開業物件の立地や条件のチェックポイントを見ていきましょう。
ターゲットユーザーや競合性
具体的に開業物件を探す前に、まずはサウナ施設のコンセプトにマッチするユーザーが居る地域を絞り込みましょう。
例えば、仕事帰りの方をメインユーザーとするなら、利用者数が多い駅の近くなど利便性が高い立地が望ましいでしょう。
高齢者やファミリー層がメインターゲットの場合は、住宅地などユーザーが多い立地が理想的ですよね。
前述したターゲットユーザーやコンセプトに合わせて、まずは集客できる可能性が高いエリアを絞り込みましょう。
また、集客性が高いエリアはほかのサウナ施設がある可能性もあるため、競合性も必ずチェックすべきポイントです。
同じコンセプトの競合施設があるとユーザーの奪い合いになってしまうため、商圏内のサウナ施設もしっかり調査しましょう。
交通手段や駐車場の問題はないか?
電車やバスなどの公共交通機関、車の場合は駐車場の有無などもサウナ開業の物件選びでチェックすべきポイントの1つです。
設定したターゲットユーザーがどのような交通手段で来店するのか想定し、アクセスの問題がないか事前にチェックしましょう。
スムーズな入店動線や認知性は問題ないか?
テナントビルなどでサウナを開業する場合、入店動線や表通りからの視認性もチェックしましょう。
入り口が分かりにくかったり、看板を出せなかったりする物件は、集客に影響する可能性があります。
物件独自のルールで看板の設置場所などが決められているケースもあるため、事前に規約などを確認することも大切です。
ユーザー目線になり、利用しやすい店舗かどうかチェックしてください。
営業時間の制限はないか?
開業する物件によって営業時間が決められるケースもあり、集客力や収益性に影響するため必ずチェックしましょう。
建物全体のセキュリティや規約で夜の営業時間が決められてしまうと、集客力が高い時間帯に営業できず収益が上がらない可能性があります。
朝のオープン、夜の閉店時間、営業できる曜日なども含めて、不動産会社やオーナーに確認を取ってください。
サウナ開業物件の構造・設備のポイント
サウナ開業では、各種法規制に対応できる物件の構造や、ストーブ・水風呂の設置に耐えられる設備の要件なども求められます。
思い描くサウナ施設をつくれるかどうかという視点で、チェックすべきポイントを確認していきましょう。
法基準をクリアできる建物か?
まずは、サウナを開業できる物件かどうかの判断が必要です。
サウナは建築基準法における「特殊建築物」に該当するため、開業できるエリアや構造などの制限がかかります。
また、サウナの規模や形態によっては、避難経路の確保が必須となるケースもあります。
さらに、サウナは公衆浴場法・消防法や、自治体の条例などの基準を満たさないと開業できないため、さまざまな観点からの確認が必要です。
法基準については一般の方がすべてを把握するのは難しいため、物件を決める前に保健所や消防署との事前協議をするのが望ましいです。
参照:公益社団法人日本サウナ・スパ協会 サウナ設備に係る運用基準等の改正概要(改正後の基準等)
電気容量は十分か?
サウナはほかの業種より必要となる電力が大きいため、電気設備の容量が十分あるかも要チェックポイントです。
ほとんどのサウナは電気ストーブを使用するため、ほかの業種より電気容量のハードルは高いです。
テナントビルで開業する場合、電気の契約方法や配線によっては、ストーブやほかの設備を使うための電力が不足するリスクがあります。
建物の構造やオーナーの意向によって電気容量を上げられないケースもあるため、事前確認が必要です。
耐荷重は問題ないか?
サウナ本体や水風呂、関連設備などの重量に対応できる耐荷重があるかどうかも物件選びの重要なチェックポイントです。
建築基準法で建物の耐荷重には基準が設けられていますが、特に水風呂はかなりの重量になるため、一般的なテナントビルだと耐荷重が不足するケースもあります。
建築図面などで耐荷重を確認し、サウナ開業に耐えられる物件を見極めましょう。
内装工事の制限はないか?
既存のテナントビルなどをサウナ施設に改修する場合、構造やオーナーの意向などにより内装工事に制限がないか確認しましょう。
建物の構造によっては壁の位置を変更できないケースもあり、思うようなレイアウトをつくれない可能性があります。
また、構造上の問題をクリアできても、オーナーの意向で大規模な間取り変更や内装工事ができないケースも。
サウナづくりに詳しい施工会社、不動産会社やオーナーに相談し、イメージ通りの施設をつくれるか確認を取りましょう。
サウナ開業物件の契約のポイント
賃貸物件でサウナ開業をする場合、契約時に確認すべきポイントもあります。
初期費用がいくらかかるか
テナントビルや貸店舗でサウナを開業する場合、初期費用も把握して経営計画に組み込む必要があります。
※テナント物件契約の初期費用の例
- 敷金(保証金)
- 礼金
- 前家賃
- 共益費
- 仲介手数料
- 保険料
- 申込金
一般的には、上記のような初期費用を支払うことが多いです。
事業用のテナント物件では敷金や保証金が半年~1年前後に設定されているケースも多く、ほかの初期費用も含めるとかなりの金額になります。
資金調達や開業後の運用にも影響してきますので、契約前に必ず初期費用を把握しておきましょう。
契約期間や更新を確認
テナントビルや店舗の賃貸では、契約内容や期間、更新できるかどうかも確認しておきましょう。
賃貸借契約には「普通借家契約」「定期借家契約」の2種類があります。
定期借家契約は契約期間満了後に更新できず、新たに契約を結べない場合は退去する必要があります。
せっかく多額の初期費用をかけてサウナ施設をつくっても、オーナーの了承を得られず再契約できないと事業を続けられません。
初期費用を回収し長く営業を続けるためには、なるべく定期借家契約は避けた方が良いでしょう。
サウナと×異業種の組み合わせも1つのアイデア
ここまでご紹介したようにサウナの開業物件のハードルは高く、事業規模が大きい場合なかなか見つけられないケースも多いです。
サウナ開業にマッチする物件が見つからないときは、ほかの業種と組み合わせてみるのも一つの考え方です。
例えば、ビジネスホテルやリゾートホテルにサウナを組み合わせれば、今までと異なるユーザー層にアプローチでき、集客力や利益を高められる可能性があります。
近年は幅広いユーザーにサウナが文化として浸透していて、「サ旅」としてサウナの有無やクオリティで宿泊先を選ぶケースも増えています。
大浴場にサウナを設置するのは難しくても、客室にプライベートサウナを併設する方法なら省スペースで導入しやすく、ユーザーの注目度も高いです。
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