インバウンド需要を取り込むホテル戦略|温泉とサウナによる差別化アイデアを紹介

訪日外国人旅行者の増加により、ホテル業界ではインバウンド需要の取り込みが重要な課題となっています。
多言語対応やキャッシュレス決済といった基本施策は必須ですが、それだけでは差別化が難しいのが現状です。
インバウンド需要をつかむためには、日本ならではの魅力ある体験をホテルのサービスに組み込み、競合との差別化を図る必要があります。
そこで注目されているのが、外国人旅行者に人気の温泉や、日本独自の文化として根付きつつあるサウナです。
本記事では、インバウンドの現状やホテル業界に求められていることを整理し、温泉やサウナを活用して外国人旅行者に選ばれるホテルをつくるアイデアを紹介します。
コラムのポイント
- 外国人旅行者数は大きく伸びていますが、多言語対応など基本的な施策だけでインバウンド需要をつかむのは難しいです。
- 日本ならではの食文化や非日常体験などを提供するのが、インバウンド需要をつかむポイントです。
- 温泉やサウナがインバウンド対策として効果的な理由、具体的な差別化アイデアをご紹介します。
宿泊業界におけるインバウンドの現状

コロナ禍で一時的に落ち込んだ訪日外国人旅行者数は、近年急速に回復しています。
日本政府観光局(JNTO)の統計によれば、2025年9月の訪日外客数は 326万6,800人と前年同月比13.7%増を記録し、9月として過去最高を更新しました。
2025年の累計でも過去最速で3,000万人を突破しており、ホテル業界にとって再び大きな成長機会が訪れています。
出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年9月推計値)」
インバウンド需要の特徴は、単なる宿泊ではなく 「体験」や「文化的価値」 を重視する点にあります。
特に人気が高いのは以下のカテゴリーです。
- 温泉や自然体験:日本独自の非日常体験として根強い人気
- 食文化:和食、寿司、ラーメンなどの食体験
- 伝統文化:寺社仏閣、祭り、着物体験など
一方で、ホテル業界には次のような課題もあります。
- 供給過多による競争激化:都市部を中心にホテルが乱立し、差別化が難しい
- 価格競争のリスク:単純な宿泊機能だけでは価格勝負になりやすい
- 外国人旅行者の多様なニーズ:文化的背景や習慣の違いへの対応が必要
つまり、インバウンド需要を取り込むためには「宿泊+体験価値」を提供し、競合との差別化を図ることが不可欠です。
インバウンド需要をつかむために必要な考え方

前述したように増加するインバウンド需要に対し、外国人旅行者向けのサービス構築に取り組むホテルが増えています。
- 多言語対応
- キャッシュレス決済
- OTAでの情報発信
- 食事の多様化対応
しかし、これらは既に多くのホテルで取り組まれており、こうした基本施策だけでインバウンド需要を取り込むのは難しくなりつつあります。
基本施策だけでは競合ホテルとの差別化がしづらく、価格競争に巻き込まれる可能性が高いです。
そこで視野に入れたいのが、+αの体験価値をどう提供するかという考え方です。
その候補として注目されているのが、日本ならではの魅力である温泉や、近年国内外で人気が高まっているサウナ文化です。
これらをホテルのサービスに取り入れることで、宿泊に「日本独自の体験」を加え、外国人旅行者に選ばれる理由をつくりやすくなります。
次章では、温泉・サウナ文化がなぜインバウンド需要において有効な差別化要素となり得るのかを、具体的な理由とともに掘り下げていきます。
温泉・サウナはインバウンド集客の大きな強み

インバウンド需要を取り込むために、日本ならではの体験価値を提供する方法として、温泉やサウナは大きな強みとなります。
※外国人旅行者に温泉が支持される理由
- 日本独自の非日常体験:天然温泉に浸かる文化は海外では珍しく、訪日観光の「特別な体験」として人気が高い
- リラクゼーション効果:長時間の移動など旅の疲れをいやす要素として幅広い層に受け入れられやすい
- 地域資源との結びつき:温泉地そのものが観光ブランドとなり、宿泊と観光を一体で訴求できる
海外にも温泉施設はありますが、水着着用でレジャーの延長として楽しむのが一般的です。
裸で入浴するリラクゼーションを目的とした温泉は珍しく、外国人旅行者にとって貴重な体験として人気を集めています。
また、海外からの長時間移動のいやしになったり、温泉地そのものが訪日の目的になったり、温泉による集客効果は大きいです。
しかし、日本では温泉を導入したホテルや旅館は珍しくなく、それだけで競合と差別化を図るのは難しいケースもあります。
そこで注目されているのが、ホテル×サウナの組み合わせです。
※サウナが注目される背景
- 世界的なウェルネストレンド:北欧を中心にサウナ文化が広がり、健康志向の旅行者に人気
- 日本独自の進化:「ととのう」という言葉に象徴されるように、日本式サウナ体験は独自の文化として海外からも注目されている
- 都市型ホテルとの親和性:限られたスペースでも導入しやすく、温泉がない立地でも差別化要素になり得る
サウナは北欧発祥の文化ですが、世界的なウェルネストレンドにより認知度が高まっています。
また、日本で独自に進化したサウナ文化は、海外にはない体験として注目を集めています。
サウナは温泉と比べて設置ハードルが低く、都市部などスペースが限られるホテルでも導入しやすいのも有利な点です。
次の章で、実際にホテル×サウナの組み合わせによる差別化戦略の例をご紹介します。
差別化戦略:客室へのプライベートサウナ設置

ホテル×サウナの組み合わせでインバウンドをターゲットにした差別化戦略として効果的なのは、客室へのプライベートサウナ設置です。
| メリット | 内容 |
| プライバシー対応しやすい | 文化・宗教的背景に配慮し、他者と共有しない安心感を提供できる |
| 高付加価値・単価アップ | 特別感のある体験がプレミアム層に響き、宿泊単価や滞在日数の向上に寄与 |
| SNS・口コミ効果 | ユニークな体験がSNSで拡散されやすく、自然な集客につながる |
| 都市型ホテルでも導入可能 | 温泉がない立地でも差別化要素として活用できる |
| 小規模施設でも導入しやすい | 1室単位での導入が可能で、段階的な投資がしやすい |
大浴場や共同サウナと比べて、客室のプライベートサウナはプライバシー性が高く、幅広い国や文化の外国人旅行者にマッチするのが大きなメリットです。
また、客室内なら写真撮影が可能なため、日本独自のユニークな体験としてSNSでの拡散による集客効果も期待できます。
1部屋単位で導入でき、設置が完了した部屋から段階的に宿泊単価を引き上げていけるのもプライベートサウナのメリット。
実際にホテルの客室にプライベートサウナを設置した事例をいくつかご紹介します。
こちらは、富士山を望めるホテルの客室にプライベートサウナを設置した事例です。
大きな窓からの眺望とサウナの組み合わせは、まさに日本ならではの体験としてインバウンド対策にも効果的です。
1日1組限定の貸切ホテルに、プライベートサウナを組み合わせた事例です。
貸切宿は外国人旅行者との相性が良く、さらにヒノキ風呂とラグジュアリーなプライベートサウナを組み合わせることで、日本でしかできない宿泊体験となっています。
まとめ
インバウンド需要を取り込むことはホテル業界にとって大きな課題となっており、日本ならではの文化や体験を提供することが重要です。
多言語対応やキャッシュレス決済の導入など基本的な対策はもちろん、温泉やサウナなどの導入による競合との差別化も進めていきましょう。

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